「これからどこに行くの?」
肩車されたまま涼太が尋ねた。

「未練を探しに行くんだ」
カクガリが上に向かって話す。

「未練ってなあに?」

「なにって・・・。未練は未練だろう」
カクガリが困ったようにこっちを見てくる。

「未練ってね、涼太君が最後に何を思ったかってことだよ」
そう助け舟を出すと、涼太は首をかしげた。

「最後っていつ?」

「えー・・・と。ほら、トラックに当たっちゃったとき」
跳ねられて死んだとき、と言いそうになって少々あせりながらもそう言った。

 涼太は「ふーん」と何か考えているふうだったが、やがて得意気にこう言った。

「僕、覚えてるよ」