しばらく無言ですねた顔をしていた涼太だったが、やがて、
「分かった。僕、がんばる」
と言って顔を上げた。

「えらいぞ!」
カクガリが涼太を担ぎ上げると、首の後ろに乗せて肩車をした。

 涼太がうれしそうな悲鳴を上げた。

 何をがんばるかも分かっていないだろうが、そう答えられたことに私は感銘を受けていた。



___逃げてるんだよ、お前は


 クロの言葉が思い出された。