麻紀子の部屋を出た私たちは、幼稚園の方に向かって再び歩き出していた。

「これで手がかりはなくなったっすね」
カクガリが困った、とお手上げのポーズ。

「うん」
そう言いながら、少し前を歩く涼太が気になる。部屋を出てから、涼太は何もしゃべらなくなってしまっていたからだ。

 自分が死んだことを知ったからなのか、そのせいで皆が悲しんでいるからなのか・・・。推し量ることができない感情に私も何も言えずにいた。

 とりあえず幼稚園に行けばまた手がかりがあるかもしれない。

 突然、涼太が足を止めた。

「どうしたの?」

 声をかけながら横に並ぶ。

 涼太は私を見た。その目には大粒の涙がたまっている。