鍵を開けてもらって中に入ると、
「あれ?」
部屋は昼間だというのに真っ暗だった。

「出かけているんすかね?」
カクガリがそう言いながら中に足を踏み入れる。

「まーきーこー先生」
はしゃぎながら涼太がそれに続くのを見て、私も中に入る。

 仲山麻紀子の部屋はいわゆるワンルームタイプで、玄関を入るとすぐに大きなリビング兼キッチンがあった。部屋はきれいに片付けられているが、カーテンが閉まっていて薄暗い。

「いた」
カクガリに言われて気づく。

 仲山麻紀子は窓際の壁にもたれかかって座っていた。

「センセ!」
涼太がうれしそうに抱きつこうとするが、当然のごとくすり抜けてしまう。
「そっか、僕、透明人間だった・・・」
照れくさそうにこちらを見て涼太は言った。