大きな通りにさしかかり、ここを右に曲がればじきに学校、という場所まで来た。

___やっぱ、ムリ

 クロが先に曲がったのを確認すると、すぐさまきびすを返し逆方向に走る。

 すぐ先にバスが停まっているのはさっき確認済みだ。駆け寄るとドアはすでに閉まっていた。

 クロに教えられたとおりに『すり抜ける』事をイメージする。見つからないようにするにはこれに乗らないとならないのだ。

 願いが通じたのか、すんなり身体はバスの中に入れた。

「やるじゃん私!」

 すぐさま通りを確認する。大丈夫、まだ気づいてないようだ。

「早く発車してよー」
聞こえるはずのない声が運転手に届いたのか、すぐにバスはエンジンをかけると、ゆっくり走り出した。

 安堵すると、空いている座席に座り込んだ。

 今ごろクロが慌てているかと思うと、少し申し訳ない気持ちがした。