栞の隣のブランコに座る。

 昔よりも地面への距離は近く感じられた。

 しばらくは言葉を選びながらブランコを軽くこぐ。その間にも、お互いの身体から放たれる光は輝きを増してゆくようだった。

「あのね」
思い切って声を出したその瞬間、
「私さ」
栞が声を出した。
「ずっと蛍に会いたいって思ってた」

 栞はもうこちらを見ていた。光がその表情をやさしく映す。それは触れると消えそうにも思え、まるではかない影のよう。

「でも、蛍にはもう会えないって・・・そう思い込ませてたの」

「うん・・・」
チェーンを握る手に力が入った。

 こぼれそうなのは、涙なのかもしれなかった。