公園を半周くらいしたところで、遊具のあるエリアにさしかかった。10年前には喜んで乗っていたであろう遊具の向こうに、ほのかな光が見えた。

「いた・・・」
大声を出すとまた逃げてしまいそうで、小声でクロに伝える。そんな声でさえ、夜の静寂の中では相手に聞こえてしまいそうだ。

「今度は逃げるなよ!」
突然でかい声をクロがあげた。

「ちょ、聞こえちゃうでしょ!」

「バカ。俺の声は聞こえないだろうが」

「・・・」

 栞はブランコに腰掛けていた。何かを考え込んでいるように、ゆらゆらと揺れていた。金の光が燃えているように見えて、こんな時なのにキレイだと思ってしまう。