ようやく見つけた鉄の杭に私はしがみつくと、
「ねぇ、見つけたら教えて。ここで待ってる」
と声をかけた。ホラーになるのは避けたい。

「あいよ」

 もう声しか聞こえなかった。

 改めて景色を見渡す。田舎だから仕方ないが、こうも光の少ない夜景もめずらしいだろう。まるで黒い沼を見下ろしているようだ。

 逆に空には無数の星が見えた。

「死んだら空にのぼっていくと思ったのにな」
現実にはこうして杭にしがみついているなんて。

 なんか笑える。

 どれくらい時間が過ぎたのだろう。だんだんと不安になってきた頃、
「見つけたぞ」
と後ろから声がして私は振り返った。