人は自分の許容範囲外の出来事が起きてしまったとき、思ってもいないような行動をとることがあるらしい。どのような行動をとるかは千差万別だが、この時の私がしたことは、爆笑だった。

「何言ってるのよ。それ冗談？はははは、笑えないし」
そう言いながら爆笑している時点で、私の思考回路はショートしていたのだろう。声を出しながら、母を見て、
「分かった、これドッキリでしょ？もう、お母さん～」
と声をかけるが、あいかわらず母はぼんやりと宙を眺めているだけだった。

「修学旅行に行ったよな？そこでお前は交通事故にあったんだ」
静かに男が言った。

　修学旅行、という言葉にドキッとしたが、意味は分からなかった。

「でも私生きてるし」

「いや、あの事故でお前は死んだんだ。もうあれから１ヶ月がたったんだ」