私は腕組みして、三木蒼太を睨みつけた。


今日の彼の服装はワイン色のポロシャツに、デニムのジーンズ。
半袖から伸びたしなやかな肉付きのいい腕につい目が行く。


――だめだ。

どうも私は彼の服装、姿勢、体つき、雰囲気すべてが「好み」みたい。
センスいいなぁ、スタイルがいいなぁと思ってしまう。



美奈子たちがイケメンの先輩を見てキャーキャー言ってる感じとはまた違う。
確かにイケメンだけど、「かっこいい!」って思うわけじゃなくて。
なんか、好み。
話し方も顔も、立ち振る舞いも、すべて。
とにかく初めて会ったタイプ。

この感じ、一言ではとても言い表せない。
ぱっと見で「かっこいい!」と思うわけじゃなくて、
少しでも会話をして、数分でも同じ空間を過ごしていると、
ものすごいイケメンに見えてくるから不思議だ。

きっととても育ちがいいんだろうな、と思う。


……って、そうじゃなくて!!!







「えー、だって、昨日も言ったじゃん。行くところがないんだよ、俺」

ようやく寝癖も治ってきた彼は、ソファーに座りなおしながら、困ったように頭を掻いた。

「じゃあ昨夜はどこで過ごしたのよ」

「友達の家」


にかっと笑って、右手でピースしながら答える。
そんな仕草も似合うから、奇妙。


「じゃ今日も、というかずっとそこに居候させてもらえばいいじゃない」