「ちょっと、聞いてる?」

ぼんやりと考えていたところで肩をつつかれて、はっとした。

わ、びっくりした。



「あ、ごめん。聞こえてなかった」

「もう。…だからね、ユッキーは中川先輩に興味ないのって」

「…んー…」


正直に言えば、まったくなかった。


奇妙かもしれないけど。
マリナさんの娘であるはずなのに、私には同い年の女の子たちの持つような感情が存在しない。


恋をしたいとか、彼氏が欲しいとか、イケメンに出会いたいとか
キスってどんな味とか、ちょっときわどいお話とか
嫌いではないけど興味が持てない。
なんでかなぁ。わからない。

マリナさんが娘の私のぶんまで恋愛してしまったから、私のぶんがなくなっちゃったのかも。なんて。


美奈子の疑うような視線が突き刺さる。
有紗はあんまり興味がなさそうだった。