自分で始めたことだから。
自分ではっきりさせなきゃ。

そう思うのに、なかなか指が動かない。


…はぁ、とため息をついたときだった。



「…あの」

トントンと肩を叩かれて、びく!と体が強ばる。
ぎこちなく振り向くとそこには話したことのない女の子が立っていた。
クラスにいることぐらいは知っていたけど、まったく話したことがない。

向こうも緊張したように、恐る恐る…といった感じで、右手をそっと差し出してきた。


「これ…さっき、篠原さんの近くで落ちたように思うんだけど」

「え? …あ、ありがとう。なんだろ?これ」


小さな、パール。
きらきらとしたビーズ大の玉。

きれいだけど、ピアスはしてないしネックレスもしてない。
…私、こんなのどこかにしてたっけ?


「なんだろうね…」

拾ってくれたその子まで、一緒に首を傾げる。

これ以外には落ちてないかな。