――お昼休み。



私は、屋上で待っていた。
お弁当代わりに購買で買ったクロワッサンを頬張りながら、屋上のフェンスにもたれかかって風を浴びる。

日差しは相変わらずきついけど、今日はいい風が吹いていた。




ふとフェンスから下を眺めると、グラウンドが目に入る。

昼練をしている、サッカー部。
暑いのに、必死にボールを追いかけあっている。
大変だなぁ。


そして目を違う方向に向けると、三年の教室があるC棟が見えた。
廊下に何人かがたむろっているのが見えて。


「…あ」


その中に、先輩の姿を見つける。
横顔しか見えなくて、なにやら友達と笑い合っていて、当然ながらこっちに気づく気配はない。



でも、前に屋上に来たとき、もしかしたら先輩はあの廊下から私の姿を見つけたのかもしれない。
なんて、考えていた、ときだった。






「…ユッキー?」


小さな声が、後ろからした。

私は慌てて振り向いて、「来てくれてありがとう」とお礼を言った。




「…なに。話って」


呼び出したのは、有紗だった。