「だよねぇ」
勝手に聞いて勝手に納得して、なんだというのだ。
そりゃ確かに今まで二、三度は勘違いされたことがある。
でもあいにく、互いにそういった感情は抱いていない。
わたしたちはどちらかといえば兄妹に近い。
家も隣、といっても間に何もないだけで離れてはいるんだけど一応そういう家族ぐるみのおつきあいというものが昔からある。
「たぶん勘違いしてるんだよね」
そのひとことがわからなかった。
誰が、が抜けている。
でもそれをキッカは言いそうにない。
困ったようで、ちょっと楽しんでいるような顔。
なんだかよくわからないけれど、うっすら見えなくもないのでその話を終わりにしたかった。
「ところで」とあえて前置きをして、わたしの向こう側のプレートを指す。
「来ないですね。昨夜もですか?」
時計を見れば十分を過ぎている。
最初こそ違えど、意外と彼は律儀に時間通りに現れていたはず。
もしや寝坊だろうか。