午前七時、朝食の時間。
ちょうどに食堂に入ると、紅茶の香りがふわりとしていた。
「おはよう」
その笑顔に挨拶を返す。
どうしてか、すこし後ろめたい気持ちがある。
既に用意されていた朝食プレート。
ハニートースト、オムレツ、ミネストローネ。
席につくと、あたたかい紅茶が置かれる。
「食欲、出た?」
四角いテーブルの右隣に座るキッカ。
「はい」
ほんとうはわからなかったけれど、そう答えておく。
案外、食べようと思ったら胃に入るだろうから。
シャワーを浴びて鏡を見て、そこまでひどい顔じゃなかったことを確認した。
だけどキッカはすこし首を傾げて、わたしの顔をじいっと見つめてくる。
「なんでしょうか」
「いや、ニイとヒノエって付き合ってるんだっけ?」
「いいえ、違いますけど」
何かと思えば。唐突にどうしたというのだろう。