行くべきか遠慮すべきか。

声は寮長室からする。

庭へはその前を通らねば出ることができない。

戻ろうか、その考えが頭をかすめる。

だってどうしても外に行かなければいけないわけではない。
 

昨日のことを思い出す。

わたしはいろんなことに目を背けている。

だけど、それが必要なことだってあるでしょう。
 

身体を反転させて深呼吸。

好奇心に負け続けてきたわたしが得たもの。

でも、わたしは馬鹿だから。


「ジーンリッチではなかったら、こんな想いはしなくて良かったんだろうか」
 
やけに通って聞こえたその声に、身体は歩くことを拒否してしまった。


「考え過ぎだよ」ひとつ言葉を理解すると頭がクリアになるのか、キッカの声もきちんと聞こえてくる。

「もう少し気を楽にもって。そうしたら周りが見えてくるから」そんな優しいことば。

それがダイレクトにわたしにも響く。