「その絵を描いた本人は、どっち」
 
息を吐く。

落ちこぼれどうし。その言葉が引っかかる。

聞いてはいけないと思いつつも、そう言われては何が共通点なのかと探してしまう。

いやそもそも、わたしはきっとナギ・ユズリハとは違う。

落ちこぼれ以前の問題。

 

もう二年も通って、まだ何も見つけられない日常。

たぶん、わたしの目的はここに入学したことで達成されてしまったのだ。

次は何をしたら良いのだろう。

卒業したら、何をしてゆくのだろう。
 

先の見えない現状、今の場所にしがみつくしかない。

もう一度息を吸って、わたしは寮へと帰る。
 

ふいにくちなしの香りがした。

でもそれは幻想。わたしの記憶。