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あれから、昨日のことのリカバリーは出来ていない。

夕食、朝食と顔をあわせはしたけれど唐突に「昨日は」と話を蒸し返すのも気がひけたし、キッカもあえてその話題には触れないようにしていた。

さらに時間が経てば言い出しにくくなってくるもので、わたしは少々もやっとしたものを抱えつつも、別段変わらなく見えるナギ・ユズリハに甘えていた。
 

昨夜ヒノエにコールをすれば、案の定「馬鹿とは随分な言い草だね」との小言が待っていた。

わたしはそれを甘んじて受け入れ、昨日の外出に関して説明をくわえる。

それを聞いてヒノエは「ふうん」と相槌を打っただけでなにも言及はしてこなかった。
 

ナギ・ユズリハと何かあったのか、と問うても「別に何か起こるほど親密じゃない」とのことば。

ヒノエは結構ドライだ。

だからヤマギワのことは言わなかった。

言ったところで「あ、そう」と返されるだけだ。