「気分転換に散歩です」
「はっ、落ちこぼれ同士つるみやがって」
ああ、何を言っても無駄なのだな、と悟った。
だから彼は何も言わないのだろう。
好きなだけ言わせてやればいいのか。
「そういえばアマハネ、お前コチヤと出身一緒だったな」
なんてタイムリー。
「コチヤに言っとけ。お前は常に横にあわせろって」
そしてなんて嫌味。
「こいつのために連れてきた奴が、はりきってどうする」
それを今ここで言う必要はないだろう。
それともわたしはヒノエがどうして入学できたか知らないとでも思っているのか。
「それともあれか、これをチャンスにこいつを駄目にして、名をあげようって魂胆か」
「は?」
さすがに、さすがに声が出る。
何を勝手な妄想展開しているのだろうか。
こいつは教師のくせに、何も生徒を見ていないのか。
どこをどう見たら、ヒノエにそんな野心があるんだ。
勝手にわたしとヒノエを結託させないで欲しい。
あの男を甘く見るな。