わけもわからずわたしはその後を追った。

どうしてだろう。ときに馬鹿は無鉄砲なものなのかもしれない。

後先考えずに彼の元へと走り、ため息をつかれる。

その瞳に初めて違う色を見た。
 

ついていく、と宣言していない。

一緒に行っていいか、と許可を請うてもいない。

それでも彼が何も言わないのをいいことに、わたしはその後ろを歩く。

辿りついた先はやはりドームの壁だった。


「知らなかった」
 
思わずそんな声がもれた。

ドームといえど、この学園の出入り口はひとつなわけじゃない。

一応、正門と裏門と言われる場所があるし、非常用にいくつかあるのは知っていた。

けれどこれは知らない。
 

小さな、ひとひとりが通るだけの扉。表示も何もない。

なんのためにあるのだろう。

いやそれにしても、セキュリティロックがかかっているはずだ。

あるのを知ったところでどうにもならない。

学園の扉は、すべて管理されている。