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それから、ナギ・ユズリハはきちんと同じ時刻に食堂に現れるようになった。

意外、とは思えない。

だってわたしは彼のひととなりを知らなかったから。
 

キッカが言うところには、少々人見知りなところがあるらしい。

だから食事の時間も、彼の要望でわたしとはずらしていたのだと。


「何気に、時間をずらして用意するのは大変だよね」
 
そう笑った彼の手際はよくて、夕食の手伝いをしていたわたしは舌をまいた。

きっと嘘だ。
 

食事のあいだ、彼はよけいなことは口にしなかった。

それでもキッカの問いかけには応えるし、わたしとキッカの会話に無関心、というわけでもなさそうだ。

かといってわたしからはやはり話しかけにくい。

話題が見つからない。