ふう、と息をつく。モニタのアイコンが点滅していた。

たぶんヒノエだろう。そう思って触ると、意外なことにキッカからだった。

そこには彼らしい柔らかな文面で、謹慎処分の間の注意事項、食事の時間、課題の提出などがまとめられていた。
 

面倒、その思いは飲み込んだ。

もしこれがただ寮に閉じ込められただけならば、謹慎とはいえないのだろう。

これは管理下に置かれてこそのもの。

考えようによってはありがたい謹慎も、さすがに課題の提出までは面倒になる。

しかし、しかたがない。
 

ナギ・ユズリハはどうなのだろう。

そう思ってからはたと頭を振った。

どうして他人のことを考えているのだ。

わたしにとって恋焦がれたのはその名だというのに。
 

だけど、そうもし彼がほんとうに絵を描くことが嫌いならば。

ここから出られる外の世界は良いものなのだろうか。

それともその先に待つ家族を思えば、逆なのだろうか。
 

もちろんそんなことわかるわけもない。

ただひとつ知っているのは、どんな親であれジーンリッチである我が子を愛おしいと思っていること。

その形がどうであれ、莫大な大金をかけて手にした子どもを嫌いになれるほど、人間は悟りをひらいていない。
 

わたしの両親然り。

たとえ出来そこないを手にしても、だ。