数秒迷って、わたしはモニタの電源を落とした。
「すみません、ちょっと急用で。お先に失礼します」
立ち上がってそう言ったわたしに、副学園長の視線が突き刺さった。
だけど、笑ってそれをかいくぐって、職員室を出る。
どこからか湿った匂いが漂ってきて、ロッカーから傘を鞄の中へと移した。
校舎を出て校門へと向かいながら、携帯端末からヒノエへに返信を送った。
お礼はまた収穫の手伝いでいいかと問うと、すぐに『そんなことより早く帰って来なさい』とメッセージが届く。
それに『嫌だ』と送ると、もう次はなかった。
歩きながら視点をあげる。
そこにはまだ偽物の空が映されている。
はやく、なくなればいいのに。
そうは思えど、なかなかその手の権力と戦うのは大変だ。