「アマハネ、なんだその青い爪は」
そしてわたしに対する小言も忘れない。
「好きなんです、自分の手と瑠璃色が」
だけどこのひとがいなかったら、きっとわたしは今ここにいないのだろう。
そう思うと、くやしいけれど引退されたらさみしいのかもしれない。
「けっ」とヤマギワはしかめっ面を残し、職員室を出て行った。
わたしは何事もなかったかのように自分のデスクへと戻り、明日の授業プランの確認へと移る。
モニタの電源を入れて、スケジュールを呼びだすと、赤い点滅。
ヒノエからのメッセージだ。
ひさしぶりのことに、メッセージを開封する。
そこに表示されたのは国立美術館の特別展の案内だった。
ほかにメッセージらしきものはなにもない。
日付を確認する。どうやら今日からはじまったものらしい。