驚いたことに、美術館の外にはヤマギワの姿があった。

行動が早い人間がいたものだ。

その顔はもう形容し難いほどに歪んでいて、わたしになんて言ってやろうかと構えているようにも見えた。
 

自動ドアが開く手前。廃棄ポストがわたしの近くにあった。

ヤマギワはこちらに入ってくる気はないようだ。出てきたところで捕まえるつもりらしい。

 
欠陥品。

連呼されるであろうことばに、思わず笑い声がもれてしまう。

 
わたしは、手袋をはずした。

そしてそのまま廃棄ポストへ捨てる。
 

コンタクトレンズもとってやった。

それも同じように捨ててみる。

 
どうせなじられるなら、一緒だ。