「キッカさんって」
その顔を見つめると、とてもきれいなシンメトリーに不思議な気分になる。
「結構、悪いことしてたんですね」
わたしだって、瞳の色以外は、そうなのだけれど。
「手厳しいねぇ」
そう笑ったキッカに頭を下げて、わたしは寮を再び出た。
あの日、ナギ・ユズリハと通った通路へと急ぐ。
誰にも見つからないように、みんなが通らない木立の中を抜けた。
取り上げられてしまったナギ・ユズリハの鍵。
あれもキッカが渡したものだったのだろうか。
だとしたら、あれ以降学校は鍵を変えてしまったかもしれない。
もし電子セキュリティになっていたら、外に出ることはできない。
あの簡素な扉が見える。
鍵は――そのままだった。なんていい加減な学園なのだろう。
だけど今回ばかりはそのことに感謝して、わたしは扉の鍵を解除した。
滑り込むように中へと入り、反対側への扉へと急ぐ。