ひゅうっと花火は昇り、空高く咲く。 鼓膜とお腹の底を揺らす音。 はかなく散ってゆく火花。 夏の風が頬を撫で、祭の空気がひとびとの熱をはらむ。 もう、次の花火が上がることはなかった。 だけどナギ・ユズリハはそのままずっと、空を見ていてくれた。 わたしはそのやさしさに感謝して、そっと泣く。 夏が、終わってしまった。 だけどこの夏で、ナギ・ユズリハは決着をつけられるのかもしれない。