わからなかった。わたしはどう言うべきなのか。
やめないで。それはわたしの身勝手。そしてわがまま。
わかった。それはわたしの思い上がり。そして自己満足。
わたしは引き留めることもできないし、見送ることもできない。
せっかくこうやって会話を交わせるひとができたのに、あの学園にひとり戻されるのはとてもさみしい。
だけどあの学園がどんな場所かはよく知っている。
だからこそ、無理に戻れとも言えない。
あの場所は、ひどく閉塞的で、他人と比べられるのに、関わらなきゃいけないところで。
毎日変わらない生活を強いられ、番号で管理され、逸脱すればすぐに呆れられる。
だからナギ・ユズリハは手首を切った。
ほんとうのところは本人にしかわからない。
だけど彼がわたしたちを似ていると言うのならば、たぶん遠くはないだろう。
わたしと違ったのは、期待の有無だった。
もし逆だったら、わたしも同じ結果を選択したかもしれない。