もっとも、わたしはそこからの逃げ方を知らない。
いつも温い泥にまみれて、転ぶだけだ。
この学園の生徒たちの中では、わたしは一般人だ。
試験をパスしたとはいえ、欠陥品を入学させるのにしぶった学園側の答えがそれ。
つまり、わたしはスタートと同時に転んでいる。
そして起きあがる術を知らない。
形だけ押しつけれられた欲しかったもの。
最初からそれだったならば、わたしはけしてこの学園には来なかっただろうに。
部屋の鍵を開け、そのままベッドに寝転がる。
薄暗い部屋の中、モニタだけが淡く光を発していた。
メッセージのアイコンが点滅している。
誰だろうか、その答えはしばらく知りたくない。