「ねえ、ゲームしよう」 花火は長く続かない。終わる前に、話がしたかった。 わたしの申し出に、ナギ・ユズリハは首を傾げてから「わかった」と頷いてくれる。 「次に上がる花火の色、当てるの」 「ふたりとも外れたら?」 「もう一回」 「当たったら?」 「外したほうに願いごとをひとつ、聞いてもらう」 体温がすこしあがった気がするのは、たぶん暑さのせいじゃない。 「わかった」 そのことばに安堵の息をもらして、わたしは「じゃあ、青で」と告げる。 ナギ・ユズリハは「赤」とだけ答えた。