真ん中に、微妙な空間を残したまま、ふたりになってしまった。
 

そんな機会があれば、とは思っていたけれど、まさかこんなに唐突にやってくるとは思ってなくて。なんだか、胸がむずがゆい。
 

ナギ・ユズリハがこの状況をどう思っているかはわからなかった。

だけど、この夏、わたしたちはこうやってふたりでいることが多かったのだから、特になにも感じていないかもしれない。

 
おおきな、花火が咲いた。

赤くて、ちらちらと消えていく花火だった。


「お兄さん、いるんだってな」
 

その音が静まって、次の破裂音が聞こえるあいだ。

ナギ・ユズリハがちいさく、こぼした。
 

だけどどうしてか、わたしにはその音ひとつひとつがはっきり聞こえた。