ふるい小説にあった、こんなことば。
 

所詮、この世界なんてすべてが造りもの。私の周りにあるのは全てが嘘つきで、私の目にするものはすべて偽もの。私にとって、ほんとうのものなんて、私しかない。
 

それは造られた人間が、この場合はアンドロイドだったけれど、最後のほうで気づく世界の真理。
 

だけどそれは彼の世界の話であって、この世界のものではない。

彼は人間だと思いこんで生きていたのに、実は自分が機械だと知ってしまう。

故にすべてのものが信じられなくなって、苦悩がはじまる。

 
そしてそこでひとつ考える。私にも私以外の確かなものが欲しい。
 
そうして機械の彼は、恋をすることを覚えるのだ。

 
恋すること。
 

恋愛は馬鹿がするものらしい。

その作品が書かれた当時は、どう言われていたか知らないけれど。

いったいいつからこんなことを言うようになったのかも、わからないけれど。