「孫がお世話になっております」
「いえ、わたしは……」そこまで言って、こんな田舎につれてきたのはわたしだったということを考える。
ナギ・ユズリハ本人は、特に帰る気もなさそうだったから誘ってみたけれど、おじいさんとしては良かったのだろうか。
こんなところまでわざわざ訪ねてくるということは、やはり帰ってきて欲しかったのではないだろうか。
「あの、すいません。わたしが誘ったんです」
わたしのことばにおじいさんは目を丸くして、それから「いえいえ」とやさしい声を出した。
「あやまることはないですよ。寧ろ感謝するぐらいです」
そうして「すこしお話をしても良いですか?」と切り出してきた。
太陽をさえぎるものがない場所で、わたしはゆっくりと頷いた。
じりじりと、日差しがわたしのうなじを焼いてゆく。