それに、すこしずつヒノエと打ち解けてゆくナギ・ユズリハを見ているのもよかった。
それがわたしにも僅かに波及してきて、うれしかった。
この生活が三日も過ぎた頃には、ナギ・ユズリハもさすがに真っ黒になっていた。
グレーの髪に浅黒い肌はなんだか新鮮で、案外似合っていた。
そして不思議と、その姿に緑も土も似合っていた。
まだ左手首の包帯は取れない。きっとそこだけ白いままなんだろう。
その日、夕立が降った。
でも雷は聞こえない。
さーっと明るいなか雨が落ちて、温まった大地を冷やし、夜を呼んできた。
太陽はそのまま山の向こうへ沈む。
山のむこうにしあわせが住むといったひとがいた。
太陽はそこへ行くのかもしれない。