これで謹慎延長決定かな。
そう思えど後悔などなかった。
やけに清々しい気持ち。
ほんとうは、もうちょっと派手に殴り倒してみたかったけれど。
「ニイ」
さすがに困った顔をしたキッカがわたしの名を呼んだ。
謹慎は経験があると言っていた彼も、さすがに教師に物理的攻撃をしかけたことはなかったのかもしれない。
「まあ、なんというか」
しかし彼の言葉がさえぎられた。
笑い声によって、だ。
わたしは笑っていない。もちろん本人なわけがない。
だから、そうつまり。
「ナギ」
ふたりで顔を動かし、その姿を視界に入れる。
ベッドの上、白い身体。その持ち主が、声を押し殺して笑っていた。
まだ青さを感じる顔がわたしの目の前で、初めて目尻を下げている。
「ほんとう」
横になったまま、その瞳がわたしを見る。
「変な奴」