まだちらほらしか見ない生徒たちを尻目に、わたしは寮長室へと入る。
さして広くない、ひとりが過ごすだけの部屋。
彼の好みなのか、最低限の家具が置かれているだけの殺風景な空間。
めずらしくキッカが扉をしめた。
ロックはかけていない。
紅茶は、そう問う声に首を振った。
互いに椅子に座ることなく、一拍の沈黙。
それから見栄えのいい寮長は、机の上から一枚の紙をつまみあげた。
「謹慎。一週間」
「はい。見ました」
「ごめんね、たった五分、それも別段困った理由じゃないのに、どうにもならなかったんだ」
あの微笑みの呆れはわたしに対してではなかったのか。
意外な言葉にわたしはもう一度かぶりを振る。
「わかってます、この学園が石頭だってことぐらい」
「手厳しいねぇ」
わたしのことばにキッカが笑った。
そしてつまんだ紙に視線を移す。