オレンジとレモンイエローのカーネーション、白い一重咲きのマトリカリアに小ぶりのヒマワリ、黄色のミニバラとグリーンのヒペリカムを合わせた爽やかな初夏を思わせるブーケを、絵美は優しいベージュと濃いブラウンのペーパーでふわりと包み、暖色系のラフィアと呼ばれる紙ひもで結んだ。
「なんだか元気いっぱいって感じね。彼のイメージ?」
真希は出来上がった花束を見て言った。
「あ…ハイ。正樹さんのお母さん、ひまわりが好きだって言ってたので…」
絵美は恥ずかしそうに花束を専用の紙袋に収め、キーパーと呼ばれるガラス張りの冷蔵庫にしまう。
「赤いカーネーションばかりじゃ面白みがないものね。絵美ちゃん、ほんとに花束上手になった」
真希は心から感心して言った。
レモンイエローとオレンジとグリーンの組み合わせが爽やかな絵美の作ったブーケは、母の日の定番である赤い色が中心の花束たちの中で一際輝いて見える。
「すごく素敵。彼のお母さん、きっと喜ぶわね」
「そうだといいんですけど…」
「大丈夫。あたしでも欲しいくらいよ、その花束なら」
不安げな絵美の肩に手を置き、真希はにっこりと微笑んだ。


