真希はベッドから抜け出てするりとブラウスを羽織り、細身のパンツに長い脚を滑り込ませると、薄手のコートを肩にかけて立ち上がった。 「今までありがとう。楽しかった」 真希は武にそう言って、ホテルのドアの前に立った。 「さようなら、武」 「真希…、もう会えないのか?」 武は言った。我ながら情けない台詞だと思いながら、それでも真希を失うと思うといてもたってもいられなかった。 「ええ」 真希は一言そう答え、武がひとり残ったホテルの部屋のドアをパタンと閉めた。