10分後、



絵美は不安げな表情で、「あの…いかがでしょうか?」と太一に言った。



レモンリーフ、レースフラワー、ラナンキュラスやイチゴ草、花びらがフリルになったトルコキキョウ、ガーベラにスプレー咲きの小さなバラ。



柔らかな素材の白と薄いピンクのペーパーを重ね、ブーケタイプにコロンとまとめられた花束は、これでもかというほど乙女チックに仕上がっている。



絵美にとって、プロポーズというのは最高にロマンチックなものなのだろう。

完成した花束を眺めて、真希は思わずくすっと笑ってしまった。



「ずいぶん女の子らしい花束だな」



太一はしばらくのあいだ花束をじっと見つめると、うーんと唸って腕組みをした。



「俺は花のことは解らないんだけど…なんだかその、愛に溢れてるって感じがするね」



太一はうんと頷くと、にっこりと笑って言った。



「何も言わなくてもこの花束が『君が好きだ!結婚してくれ!』って言ってるみたいだよ。プロポーズにはもってこいだ」



絵美は太一の言葉を聞くと、安心したように嬉しそうに笑った。