真希と絵美のやりとりを見て、太一は言った。
「絵美ちゃん、っていったっけ?」
「は!はいっ!」
絵美は驚いて太一のほうを見た。
「大事な人にプロポーズするんだ。素敵な花束を頼むよ」
絵美は一瞬硬直した。
「プロポーズ…」
初めてお客様の目の前で作る花束が、プロポーズの為の花束だなんて。
自分が作る花束が、彼の人生を左右してしまうかもしれないだなんて。
「あのっ…わたし…」
絵美は真希の顔を見上げ、やっぱり代わってくださいと目で訴えた。
すると真希は小声で、「堂々と」と言って絵美の肩をぽんと叩く。
やるしかない。
絵美は小さく頷いて「よしっ、堂々と」と呟いた。笑顔を作り、初めてのお客様、太一としっかり向き合った。


