「ちょっと…、タッちゃん何言ってんの?」
「俺、本気だよ?別に今思いついて言ってる訳じゃない」
「誰に…誰にプロポーズすんのよ!」
「誰って、真希に決まってるだろ。はやく作ってよ、花束」
あんぐりと口を開けて呆気にとられた表情で、太一と向かい合って立ち尽くす真希。
「…店長?」
配達から帰ってきた絵美が、男性客を目の前に棒立ちの真希を見て何事かと思い声を掛けた。
「…店長?大丈夫ですか?…なんだか顔色悪いですよ」
絵美は真希と向かい合っている男性客を交互に見た。
男性客は優しそうな微笑みを浮かべて真希を見つめている。
「…あの、お客様ですよね…?」
絵美が真希に声を掛けると、「あ…うん」とロボットの様にガチガチに強張った表情で真希が言った。
「え…絵美ちゃん、このお客様に…花束を」
「えっ!」
絵美は思わずぱあっと表情を明るくして叫んだ。
「店長!…いいんですか?」
何度となく練習してきた花束も、お客様の目の前で実際に作るのは初めてだ。
「ええ、もちろんできるわよね?絵美ちゃん」
「はいっ!」
「じゃあ接客をお願いします」
真希はそう言って、強張っていた顔をゆっくりと綻ばせ、にっこりと絵美に向けて微笑んだ。
「は…はいっ!!」


