「いらっしゃいま…あ」
淡いピンクのトルコキキョウと真っ赤なヒペリカムを左手に持ち、葉物は何を合わせようかと考えていた真希は、客の気配に振り返って言った。
「なんだ、タッちゃんか」
太一は腕組みをして、ゆっくりと店内を見回した。
「タッちゃん何か用?あたし仕事中なんだけど」
真希は葉物のバケツの中から白いラインの入ったグリーンのドラセナを選び取ると、カウンターの上で丁寧に一枚ずつ葉を剥がし、一枚一枚くるんと丸めてホッチキスでパチンと止めていく。
トルコキキョウは葉を取り、蕾と開いている花とに分けて茎をナイフで切っていく。
「店長さん」
と太一は言った。
「花束を作ってもらいたいんだけど」
「ええ?」
真希は思わずすっとんきょうな声を出していた。
「タッちゃんが花束?」


