太一は秋桜畑に立っていた。 真希と出会った、生まれて初めて恋に落ちた、あの日。 血の繋がらない父親が出会わせてくれた、最愛の人。 あの日、父と交わした約束を、太一は今でも忘れない。 彼が死んで、真希との関係を知ったとき、太一は思った。 父親のいなかった自分の『父さん』になってくれた男は、誰より不器用な男だったのかもしれないと。