太一が真希を抱き締めたい、キスしたいと願うたび、彼女は少しずつ太一から離れて行くような気がした。



まるで、ひらひらと舞う蝶のように、真希は太一の作った囲いの中から逃げ出そうとしているように思えた。



これ以上、真希に恋人ができるのを黙って見ているのはもう限界だった。



真希の全てが欲しかった。



例え叶わない恋だとしても、もう友達ではいられない。



「守ってやるって…約束したのにな…」



太一は小さな真希の写真に向かって、そう呟いていた。