プリントアウトした注文書を受け取り、届け先の名前を見た瞬間、真希は脚が震え、持っていたミニかぼちゃを危うく床に落とすところだった。
届け先の病院は、何度か配達に行ったことがある近くの有名な総合病院で、患者の名前は、『織田輝真』になっていたのだ。
それは産まれてから一度も会ったことのない自分の父親の名前であり、太一の父親の名前だった。
隣の県の花屋から送られてきた注文書の、注文主の名前にはまったくといっていいほど見覚えがなかったが、ただの偶然にしては出来過ぎだと思えた。
「…どうして…」
真希は絵美に聞こえないように、小さな声でそう呟いた。


