紫や金のテーブルクロスに、青いリンドウの鉢植えやテーブルサイズの胡蝶蘭、小さなガジュマルの木をシックな色の陶器に植え替えたものを並べた店頭の敬老の日コーナーには、小さな予約専用カウンターを設置してある。
すでにほとんどの配送作業を完了させた今日は、久しぶりに残業も必要ない。
真希はつい10分ほど前に絵美と駅前の広場で別れ、広場のベンチに腰掛けて太一の迎えを待っていた。
太一からの連絡で、何ヶ月かぶりに会うことになったのだ。
昼間の蒸し暑さに比べると、夜のひんやりとした冷たい空気が素肌に心地好い。
真希は自動販売機でコーラとオレンジジュースを買うと、オレンジジュースをプシュと開けた。
武と暮らすことに決めたということを、太一に言わなければならないと真希は思った。
いつまでも、太一の優しさに甘えている訳にはいかない。
太一にだって、彼の人生があるのだ。自分なんかにかまっているうちに、本当に結婚できなくなってしまうかもしれない。
どこかで、むしろそうなってしまえばいい、と思ってしまう自分の気持ちにも、もういい加減けじめをつけなければ。
これ以上、自分のせいで太一を不幸にする訳にはいかないのだから。


