「あたしもよ、武」
真希は思わずそう呟いていた。
手招きする武に引き寄せられるようにバスタブに入り、お互い一糸まとわぬ姿のまま、あたたかくやわらかいお湯の中で抱き合った。
武はきっと寂しいのだ。
彼はバカで、寂しがりやで、狡猾で、それでもどこか、自分と似ている。
「俺と暮らしてくれるのか」
「愛してるって言って?武」
武は真希の背中に両腕をまわし、なめらかな肌に手のひらを滑らせる。
「愛してる」
真希の首筋には唇を滑らせ、バスタブの淵に真希の背中を押し付けた。
「真希、愛してる」
「あたしもよ、武」
こうして武と抱き合うことだけが、どうしようもない寂しさを埋めてくれる。
太一といると罪の意識で壊れてしまいそうになるから。
太一に抱かれたいと願ってしまうから。
決して抱かれてはいけない、自分が不幸にしてしまった世界で一番愛する太一に。


