トルコの蕾





長い坂を登ると、ブロック塀にそって延々と、無数の向日葵が植えられている墓地が見えて来る。



毎年お盆の時期になると眩しいほどに鮮やかに、高く大きく育った向日葵に囲まれて、暗く湿った空気が流れているはずの墓地は何とも異様な存在感を放つのだ。



久し振りに来てみると、その異様なまでに華やかな墓地はより一層、不思議な別世界のように思えた。



何年も、掃除すらしていない母親の墓は、お盆が終わったばかりで綺麗に磨かれた墓が多い中、どんよりと寂しく目立っていることだろう。



真希は水汲み場でバケツに水を汲み、花とブラシを片手に母親の墓を探した。



四年前の記憶を辿り、墓石の間をちらちらと左右を見ながら歩いていく。





「……えっ……何で……」





真希の記憶と同じ場所に、母親の墓は確かにあった。





けれど、真希は母親の墓を見た瞬間、その場に呆然と佇んで一歩も前に進めなくなっていた。