お盆を過ぎるとフラワーショップは暇になる。


まるで嵐が過ぎ去ったかのように客足が途絶えるのに合わせて、真希は店を三日間休むことにした。


店の裏口から入り、キーパーにしまっておいた花のなかからカーネーションやスターチス、大ぶりの菊とスプレー咲きの菊を取り出した。


他人のお墓に供えるための花を売り続けていたせいで、毎年行けないでいた母親の墓参りに行こうと考えていたからだ。


「もう十年か…」


真希は店にひとりきりで母の墓に供える花束を作りながら、高校生のときに死んだ母親のことを思い出していた。