「えっ…今から、ですか?」 「そう、今から。星がよく見える場所が、ここから2時間くらいのところにあるらしいんだ」 正樹は絵美の顔を覗き込み、「せっかくの七夕だし、ね?」と言った。 「…正樹…さん」 「だから、さん、いらないって」 正樹は笑った。 「帰りが遅くなると、まずいかな?」 「いえっ…そんなことは…大丈夫…です」 「じゃあ、行こう」 正樹は車のシートのポケットから、ぼろぼろの地図を取り出してにっこりと笑った。